平成30年10月23日
府中市のお客様より、台風の影響で自宅裏の月極駐車場にあった目通り290cmのケヤキが倒れてしまったとの連絡がありました。
9月30日から10月1日に通過した台風24号の暴風により、駐車場内にあったケヤキが根こそぎ完全に横倒しになっていました。
資料写真をご提供いただいた初見で、ケヤキは数年前に剪定されて枝張りが少ない状況にも関わらず倒れていたので、すぐに根腐りを疑いました。
現地訪問の際に真っ先に根を見たところ、ケヤキの赤身が全面で白くなっていたことから菌類の進入と仮定し、進入口を探すと木の西側の根回りにサルノコシカケが生えた跡がありました。
当日居られた家族の方にキノコの有無を確認すると、確かにその位置に以前キノコが生えていたとの情報を得ることができました。
菌が寄生して樹幹内部を徐々に腐らせ、幹の外部に子実体を形成するまでには時間がかかり、子実体が形成された時点では今回のように既に内部が腐って大抵は手遅れの状態になっています。
根腐りとその影響で根張りが弱くなったことから、今回の台風で幹と太枝の少ない面積の抵抗でもこれだけの太い木が簡単に倒れてしまいました。
しかしながら、非常に幸いなことに周辺は住宅やアパートに囲まれた駐車場であったにも関わらす、駐車場の通路と平行に倒れたことで建物や駐車していた車への大きな被害は無かったとのことでした。
近所の方によると、倒れた方向が少しずれていたら駐車していた最新型電気自動車の新車が大破していたとのことでした。
倒木後に、車の通行に影響のある小枝等は先に伐り落としたため現状では駐車場の出入りには影響がなく、空きスペースに倒れたことからご依頼をいただいてから本日まで撤去をお待ちいただいておりました。
また、駐車場という立地条件から上物撤去後の伐根も可能な限り抜いて撤去して欲しいとのことでした。
ケヤキは目通り290cmもある大径木で、幹は確実に腐っていると予想しているものの当社へは長材のまま搬入するために、撤去作業には主に積込みを目的として13tクレーンを手配しました。
現場は道の狭い住宅街の中にあって13tクレーンは特に問題なく通行できたものの、当社の運搬用トラック全車は現場訪問時の計測通りに曲り角の進入が限界でした。
駐車場内は広く、依頼人様の自宅に近い方は特に広く空いていたのでトラックの駐車は問題なく、クレーンの設置や伐採材の仮置場も全く問題ありませんでした。
細枝は全て伐り落とされていたので当社では太枝から伐り始め、概ね伐り落としたところで幹の伐る位置を確定し、クレーンで吊りながら玉切をしました。
元木を5mの状態で残し、玉掛を末口側に掛けてクレーンで一時的に吊り上げた状態で根元を伐り離しました。
根元を伐り離して元口を確認すると予想通り腐っていましたが、根より幹の方が腐り方が小さい状態でした。
根の腐りが激しいのでハサミのミニユンボでも難しくなく抜根することができ、最終的に生きていた根は西側に1本あったのみでした。
依頼人様の要望通り抜根することができたので撤去し、跡地を整地して作業を終了しました。
ケヤキは目通り290cmで樹齢約120年の木質が良い木でも、サルノコシカケの寄生と元木中間の大節が大きなマイナスとなってケヤキを買い取ることができず、無償での引取となってしまいました。
台風24号の倒木関連では現在のところ、ご依頼を受けているものや既に撤去済みの倒木の中では一番太い木でした。
未だに倒木撤去の依頼をいただいており、危険度の優先順位や重機の手配等から手の付かない現場もあって、まだまだ倒木撤去作業が終わりません。