昨今より話題となっております時間外労働時間規制、いわゆる2024年問題が運送業界だけではなく建設業界にも令和6年4月1日より適用されます。
当社の伐採業務は林業のほか土木建設業にもあたり、さらには当社の伐採作業では欠かせないオペレーター付きクレーン車リースも時間外労働規制が適用され、今回の改正では罰則が科されます。
一般的に作業時間8:00~17:00の間であれば定時内と思われがちですが、労働者は朝会社に集合した時点から労働時間が起算され、現場から撤収して当社まで帰社し、荷下ろしや翌日の準備整備等が終了して解散するまでが労働時間となります。ということは、会社と現場との往復時間も労働時間(≒残業時間)にカウントされています。
作業現場にもよりますが当社集合を7:00と仮定し、1時間かけて通勤して8:00より作業、10:00~10:30、12:00~13:00、15:00~15:30は休憩として17:00まで作業、1時間かけて帰社した後に30分の荷下ろし等をして18:30に解散した場合には労働時間9時間半となります。
同様にクレーン車も車庫を7:00に出庫して当社現場で作業し、18:00に帰庫した場合には労働時間は10時間(クレーン側では昼休憩1時間以外の休憩は労働時間にカウント)となり、クレーン会社側では2時間残業相当となっておりました。
もちろんこと、クレーン車は現場8:00に到着しても設置展開する時間や作業終了後に格納搬出する時間もカウントされているので、クレーン実作業時間は定時内でも当然のことその分少なくなり、設置展開に時間のかかる条件の悪い現場ではさらに作業時間が短くなります。
当社では秋季及び冬季の繁忙期でも雨天日を含む1ヶ月のうち10日程度は伐採外業務等のため休業とせざるを得ない日がある代わりに日曜祝日を出勤日とする分、雨季及び夏季の閑散期に現場作業員を多く休ませることを伐採専業となってから励行しておりますので、当社では過去の記録上今回改正の時間外労働規制に抵触することは無いと考えております。
また、当社より作業現場まで出向するに高速道路を利用せず朝2時間を超えるエリアは完全に非対応として、1時間半圏内程度でも長期作業等条件によってはお断りすることもあり、現場終業も基本16:00として全作業員の負担軽減にも既に取り組んでおりました。
今までは当社もクレーン会社も8:00~17:00が定時ということで作業して参りましたが、しかしながら、4月1日以降は外部(特にオペレーター付きクレーン車リース)にはその慣例を押し当てることはできなくなります。
今回の改正に伴い、クレーンリース会社及びその所属の協会や組合から一律の新規定として、作業当日の回送のある現場(特に1日工期の現場)の基本作業時間8:00~15:00(7:00出庫~作業開始8:00~12:00昼休憩13:00~15:00作業終了~16:00帰庫)が策定され、遠方現場の早出相当や15:00以降の作業は全て残業扱いとの通知を受けました。
オペレーターの勤務状況によっては遠方への早出や残業が対応できない場合も十分に考えられますので、今まで非対応エリアである地域はもちろんのこと、当社より1時間半程度圏内の地域(桃色の営業エリア)も、作業内容によりましてはお断りさせていただく場合があります。
中距離の現場でも今までは16時頃まで実施していたクレーン作業は基本的に15時終業とさせていただき、1時間程度の残業で終了する見込みがある場合には御見積段階で残業割増クレーン料金をご提示し、それでも終了する見込みがない作業では御見積の段階で1日工期増でのご提示となります。既に御見積の段階で割増料金や工期増をご提示するため申告外の瑕疵や天災、お客様都合の追加作業発生等を除き作業着工後に割増を求めることはありません。
クレーンが定時で終了となった時点には当社の定時内作業時間はまだ残っていることが多いですが、クレーンが帰ってしまっては清掃等の軽作業しかできないことも多く定時前に作業を打ち切らざるを得ないことも発生することが十分に予想されます。
今まではタイトに16時半頃まで作業すれば1日工期で終了したクレーン作業は、これからは残業無し2日工期(見積)とさせていただきます。あくまでも例ですが非対応エリアの伐採の場合、今までは8:00作業開始のため5:30過ぎに集合して現場では17:00までの作業で帰社し20:00前に解散する1日強行の現場は、規制後は3日工期となります。
当社の伐採作業費等は日数または本数や面積に応じて工期を算定しているため、規定作業が機材トラブル等当社の責任で遅れて残業となった場合は当社の負担となります。お客様都合(工期外の追加作業発生や近隣トラブル、特に車両移動等のトラブル)で残業または工期増となった場合には、その実費はお客様の負担となります。
お客様のご希望や近隣の都合により休日指定の作業や雨天等で出向できない平日の代わりとして、土曜日曜祝日の作業は歓迎いたします。自社機材のみで作業できる現場に関しましてはほぼ従来型の労働モデルにて工期を算定いたします。
参考までに中距離地域と遠距離地域で今までとこれからではどのように変わるのかを、新旧の労働モデルとして例を挙げておりますのでご理解いただけますと幸いです。
今回各位にお願いする時間外労働時間規制で時短せざるを得ない対象業務はクレーン作業を伴う伐採作業のみで、自社機材による伐採作業は規制に抵触しない範囲で実施し、当社役員のみが従事する業務内容(現場訪問・打ち合わせ・見積、運搬・配送、木材販売、丸太受入等)は従来通り時間規制無しで対応いたします。
参考 新旧労働モデル
中距離エリア従来型労働モデル
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出向 |
作業 |
休憩 |
作業 |
昼休憩 |
作業 |
休憩 |
作業 |
帰路 |
労働時間 |
当社
作業員
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7:00~
8:00 |
8:00~
10:00 |
10:00~
10:30 |
10:30~
12:00 |
12:00~
13:00 |
13:00~
14:30 |
14:30~
15:00 |
15:00~
16:30 |
16:30~
18:00 |
9h |
クレーン
オペ |
6:30~
8:00 |
8:00~
12:00 |
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12:00~
13:00
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13:00~
16:00 |
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16:00~
17:30 |
10h |
中距離エリア規制後労働モデル
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出向 |
作業 |
休憩 |
作業 |
昼休憩 |
作業 |
休憩 |
帰路 |
労働時間 |
当社
作業員 |
7:00~
8:00 |
8:00~
10:00 |
10:00~
10:30 |
10:30~
12:00 |
12:00~
13:00 |
13:00~
15:00 |
15:00~
15:30 |
15:30~
17:00 |
8h |
クレーン
オペ |
6:30~
8:00 |
8:00~
12:00 |
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12:00~
13:00 |
13:00~
14:30 |
|
14:30~
15:30 |
8h |
遠距離エリア従来型労働モデル
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出向 |
作業 |
休憩 |
作業 |
昼休憩 |
作業 |
休憩 |
帰路 |
労働時間 |
当社
作業員 |
6:00~
8:00 |
8:00~
10:00 |
10:00~
10:30 |
10:30~
12:00 |
12:00~
13:00 |
13:00~
15:00 |
15:00~
15:30 |
15:30~
18:00 |
10h |
クレーン
オペ |
5:30~
8:00 |
8:00~
12:00 |
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12:00~
13:00 |
13:00~
15:30 |
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15:30~
18:30 |
12h |
遠距離エリア規制後労働モデル
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出向 |
作業 |
休憩 |
作業 |
昼休憩 |
作業 |
帰路 |
労働時間 |
当社
作業員 |
6:00~
8:00 |
8:00~
10:00 |
10:00~
10:30 |
10:30~
12:00 |
12:00~
13:00 |
13:00~
13:30 |
13:30~
16:00 |
8h+残0.5h |
クレーン
オペ |
5:30~
8:00 |
8:00~
12:00 |
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12:00~
13:00 |
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13:00~
15:30 |
8h+残1h |
伐採におけるクレーン車等重機の必要性
クレーンの1日の作業時間が短くなるということは工期が増えることとなり事実上大幅な値上げとなる事態ですが、当社では材木として価値の無い木でもクレーンを使用して長く伐出することで、一般的に運搬コストや処分費用の高い幹や太枝を再利用可能な材として当社で無償で引き取りすることができ、クレーンを使用する費用対効果が得られます。
もちろんのこと、クレーンは材木として立木を伐出することに非常に重要な重機のため、価値の高く買取対象となるような木はそれなりの大きさでの搬出が求められますので、クレーン無しに伐採することは考えられません。
伐採だけのコスト重視で重機を使用せずにロープや人力で伐採を行う事業者が相当増えましたが、重機を使用しない以上可搬可動サイズやその機材の耐久値で伐採(短く伐ったり、長く伐ったとしても搬出できない)し、施工後にその幹の対処や処分でお困りの施主様や場合によってはその施工業者様より当社へお問い合わせいただくことが多数あります。
ただ単に伐り倒しっぱなしでも良い場所であれば重機を使用しない程低コストに伐採できることはありませんが、処分がある場合には重機を使用しないと工期増になるばかりではなく、特に幹は重量物であり固形物でもあるため一般的に搬出処分コストが枝葉の搬出処分コストに比べて高額となります。
当社では伐採の段階から工期と処分費低減のため積極的に重機を使用し、ダメな木でも長く伐り出してチップ材として、本来他社では全てゴミとして廃棄対象または現地に置き去りにされる材を資源として搬出し生かします。
当社は林業、材木業でもあることから丸太を一度に多量に運ぶノウハウと原木運搬車を複数保有しているので、伐採現場まで通勤車として乗って行くトラックに帰り荷として伐採材を積むことができるため、また自社貯木場と荷役装置を完備しているので持ち込み先の営業時間等を気にせずに伐採材を無償で引取運搬することができるのです。
他社で見積を取った際に幹の搬出処分は高いからと言われ、敷地内に置き去りにして欲しいや伐ったそのままで良いという現場でも作業中に重機と車両が入っていれば無償で引き取ることが可能で、伐採枝と違って簡単に腐らず重くて動かずに困る幹を当社では重機と車両のタッグで簡単に搬出することができます。
クレーンや重機は費用が高いという噂や先入観をお持ちのお客様は少なからず居られますが、当社のように専門で使用している業者が使用すると効率よく使用することが可能な上、伐採材も生きるという非常に大きなメリットもあり、安全かつ迅速な作業に寄与し作業員の負担軽減につながっております。
当社がクレーンを使用する際には立木の上で材木の使用用途によって伐る分けることのできる自社の空師が木に登って作業するため、コストのかかる高所作業車を併用せずクレーン1台のみで作業し、他社のように重機を複数使用したにも関わらず短く伐って捨てるという本末転倒的なことは当社ではいたしません。
当社では可能な限り重機を使用するようにしたり、重機を使用できるように工夫したりとしておりますが、中には小さい木の伐採等費用対効果の薄い現場や工夫しても物理的に重機を使用できない現場もありますので一概には言うことができません。しかし、当社で今までに施工した現場ではそのようなケースは少ない方ですが、別の工法で伐採してクレーン以外の重機を使用して材木として伐出できることは大多数で、完全に可搬サイズで伐り刻む案件は極少です。