平成30年10月12日実施
当社で伐採を請負っている市内の寺院より、台風の影響で鐘撞堂の近くにあった目通り180cmのカシが倒れ掛かっているとの連絡がありました。
9月30日から10月1日に通過した台風24号の暴風により、寺社林内のカシが根こそぎ倒れ掛かり、近くにあるケヤキ2本とイチョウにもたれ掛かっていました。
カシは樹高が高く、鐘撞堂を建立した際に盛土したと思われる残土のような比較的柔らかい地盤の上に立っており、鐘撞堂がある盛土した南側の根張りが弱かったことが倒木に繋がった要因でした。
幸いにも残った北側の根と、もたれ掛かったケヤキやイチョウのお陰で完全な横倒しは免れ、掛かり木したことですぐ脇にあった文化財の石柱の損壊も回避されました。
この案件は台風が通過した1日にご依頼を受けておりましたが、昨日までは工期や先約のある現場と急を要する倒木撤去が多数入っていたために、最速で12日の作業になることでご了解をいただいていました。
着工までの間、万が一のことに備えて寺院側には風倒木周辺への立入禁止措置を講じて頂いて、一般者への危害防止をしました。
住職さんの希望により掛かり木しているイチョウ等、現状で残っている木は可能な限り潰さないでカシを撤去して欲しいとのことでした。
また、現状で元伐りをしてカシを伐倒した場合はイチョウが潰れてしまうほかに、文化財の石柱や祠も下敷きになってしまうため枝から確実に処理していく必要がありました。
枝落としするために木に直接登って作業することは風倒木の掛かり木という条件から非常に危険なため、ラフタークレーンでゴンドラを吊り下げるか、高所作業車で作業する必要がありました。
掛かり木しているケヤキの枝が干渉するためクレーンの使用が難しいと判断し、高所作業車で伐採することにしました。
高所作業車は枝落とし中に掛かり木が外れてカシが倒れてくることを想定し、木から離れた位置に作業車をセットしても作業が可能なように20mクラス以上の車両を手配しました。
リース会社より22m高所作業車が充当されており、高所作業車での伐採は久々の作業となりました。
まずは優先的に、カシが倒れてしまっても石柱と祠を潰してしまわないように、先に接触する可能性がある枝を可搬サイズで伐り落としました。
接触する可能性のある枝を処理した後は、作業車はそのままの設置した北側の位置から届く範囲で枝を伐り落としました。
作業車で枝の先端付近に接近したところイチョウの梢端が折れてぶら下がっており、ケヤキの太枝も1本折れてカシの枝に巻き込まれた形でこれも宙吊り状態になっており、かなり危険な状況になっていました。
北側の位置からでは80%以上の枝を伐り落とし、次に西側の位置へ作業車を移動して残りの枝を伐り落としました。
全ての枝を伐り落とし終え、掛かり木が解消したところでも幹が倒れなかったため、再び作業車を北側へ移動して太枝を4mで伐り落として幹を短くするようにしました。
約11mの幹の状態までに伐り詰めたところで元伐りをして、約1.5m幅のケヤキとイチョウの間に伐倒しました。
伐倒後はユンボで幹を曳き出して玉切し、元木を2.2m、2番玉と3番玉を4mにしてトラックへ積み込みました。
持ち上がってしまった伐根は幹を伐倒しても戻らず、現状では残存木や石柱等があって、根周辺へは迂回してもコンマ1クラスのユンボしか進入できないため抜根作業は見送りました。