平成28年12月15日実施
八王子市の土木業者様より、あきる野市の国有地段丘崖にある目通り10尺のケヤキの伐採の依頼がありました。
秋川の段丘崖上部にケヤキは立っており、木のすぐ脇には生活道路が通っていました。遠くから見ても非常に古い木であることが簡単にわかるほどの木でした。
木が古いため一部の枝が枯れ始めており、時々枝が落下してくるようで現場確認に行った際も折れて引っかかっている枝がありました。
近隣より「危険だ」や「枝が落ちてくる」といったクレームが役所に入り、所有者である国がケヤキの伐採を決定しました。
作業を請けた八王子の業者様が国から伐採費用をほとんどもらうことができず、予算的にも伐ることすらできないとのことでした。
通行止めの道路使用許可を取得し、道路にクレーンを設置することができればケヤキを十分に買い上げて伐採することが可能でした。
道路使用許可申請と枝葉処分を業者様にお願いすることで、その費用分も買取金額に反映して増額することができています。
また、公道を使用して作業するためには全ての発生材を当日中に搬出しなければならないので、枝葉処分は業者様に協力をお願いしています。
伐採には25tクレーンを搬入して道路上に設置し、空師による木登り伐採で作業を開始しました。道路使用許可の都合上、9時からの作業となりました。
まずは、落下の危険性が高い枯れ枝を第一に処理し、落下物による地上での事故を防ぐことから始めました。
枝分かれ上部の太枝には珍しくヤドリギが寄生しており、この部分を製材すると腐っていなければ小豆杢という杢が出現することから、伐採と取扱いは特に丁寧に行いました。
枯れ枝処理後は生枝を伐り下ろしていき、ヤドリギ寄生の太枝を残した状態から枝分かれ部より大きい状態で吊り伐りました。
枝下ろしは昼前までに全て終了し、その後はクレーンを木のすぐ近くまで接近させ、胴木は胴切等を行わずに長い状態で伐倒しました。
さすが銘木級の木で、材は非常に柔らかくチェーンソーが恐ろしいほど切れていきました。元伐りは70cmバーのハスク268XP1台で、あっという間に伐ってしまいました。
胴木伐倒後、長材のままでは曲っているため元木を4m、2番玉を3.6mに造材しました。3番玉は大変珍しい非常に大きいヤドリギのコブ材が採れました。
3番玉付き胴木の総重量は6.0tで、造材後の元木が2.6t、2番玉が1.8t、3番玉が1.4t、廃棄物等が200kgでした。
樹齢250年以上の銘木で、今年一番の最高級ケヤキの伐採作業となりました。丁度、年数の経ったケヤキ材の注文が入っていたので、適合材として出荷する予定です。
ケヤキより道路の擁壁の方が新しく、ケヤキの本当の元木は路面高から1.5mほど低い位置にあるため、元伐りした位置より1.5m分の材が擁壁を巻き込んだ状態で埋まっていました。
元伐りした位置からの目通りでは9尺でしたが、材がこけていないので元木は4m×72cmの大径材が採れました。
時間が多く余っていたので埋まっている本来の元木のうち、路面高より1m分を芯付近からチェーンソーで伐り割き、その半割材も伐出しました。