2018年9月
東京都青梅市 丘陵地内の実生ヒノキ5本の買上伐出
平成30年9月28日実施
当社へ支障木等の伐採をご依頼されるお客様が所有する青梅市の山林内より、目通り170cm~200cmのヒノキ5本を当社で買上げて伐採させていただくことがありました。
今回のケースはお客様からのご依頼ではなく、当社が必要としている原木丸太の取得を目的とした伐出作業で、所有者様から買上げの了承を受けての伐採となりました。
今月中旬にヒノキのある山林のうち、東側の林縁部にあって隣接する病院側へ伸びて建物に被っていた支障木や竹林を長さ約150m、幅約4mの区間を3日間に渡って伐採していました。
この支障木伐採を施工していた際に、当該ヒノキを林縁部から40~50m入った林内で見つけて所有者様へ買上伐採の打診をしていました。
ヒノキは大きく分けて林内の2箇所にあり、谷側に目通り190cmと200cmの2本、尾根側に目通り170cm、190cm、200cmの3本がそれぞれ生えていました。
この山林のある丘陵地は当社のすぐ近くにある通称裏山と呼ばれる丘陵地の地続きで、その林内にある大多数の樹木は実生木でヒノキは材質的に良いものが採れることがわかっていました。
当社では創業~昭和期にはこの裏山からマツやヒノキ等多数の木材を伐出、時には架線を用いて搬出して併設する製材工場で製材して各地に出荷しておりました。
この丘陵地は起伏の激しい原生林で林業を施業するための山林ではないため、昔から道路整備は軽トラが走れる程度の山道しかなく、林業のための路網整備は現在でも皆無な状況であります。
当社の裏山における伐採は皆伐するのではなく、今回のように当社で必要な立木だけをチョイスして買上げて伐採するという方法を取っていました。
今でもこの丘陵地の内部はほぼ原生林として残っており、当社所有の山林やヘリ集材を用いなければならないような場所には、実生のヒノキやスギの大径木が残っています。
昔と異なり現在では山林の所有者が変わったり複雑であったり、場所によっては公有地となっているため伐採交渉が大変難しく、木材価格の下落も相まって伐採することが難しい状況にあります。
今回の山林は多少の管理はされているものの枝打ち等の管理は基本的にされていないヒノキなので、元木の4m材は確保できても2番玉からは大節となっていました。
3番玉から上は節が酷過ぎて搬出してもパルプ向けの材のため、枝葉とともに林内に残置して5本とも元木と2番玉を搬出することにしました。
現場の作業路は病院側の植え込みや構造物、山林側には境木があるため軽トラや3tクラスのユンボがなんとか通れる道幅しかなく、立木の大きさに対して適切な重機を搬入することができない場所でした。
今月下旬前には伐採の了承を得られたものの秋雨前線の影響で作業が開始できず、1日だけ晴れる予報が出ていた28日に伐採するとしていました。
朝から晴れていても前日までの長雨の影響で現場入口の急坂が泥濘んでおり、軽トラどころかユンボも登ることができない状況になっていました。
入口から伐採地までの距離は約200m、高低差は約40mもありましたが車両登坂を諦めて必要最低限の道具を持って伐採地へ向かいました。
午前は尾根側の3本から伐木造材を開始し、3本とも楔を用いて上斜面へ伐倒しました。10時前には道が乾いてユンボと軽トラがなんとか登れるようになって必要機材が全て揃いました。
ユンボが投入されたことにより伐木造材と並行して集運材も行われ、3人が伐木造材作業に従事している間、1人がユンボで伐採地より150m下った中間集積地まで地曳集材を行いました。
午後は谷側の2本をチルホールを用いて等高線上へ伐倒しました。谷側ヒノキの集材は等高線上の勾配が急でユンボが途中までしか進入できないため、木寄せが非常に手間取りました。
朝からのトラブル等で2時間近くロスし、谷側ヒノキの最後の丸太が伐採地から搬出された時点で16時半を回っており、日没までに中間集積地にある短幹材10本を入口まで下ろして積込む必要がありました。
材は入口から50mまでの距離まで集積されていたので早急に地曳で急勾配区間を摺り下ろし、入口に待機したユニックで積込みました。
最後の材が下りてきたのは18時前になってしまいましたが、現場から当社までは車で10分かからない位置なので、早急に当社貯木場へ搬入しました。
東京都福生市 民家解体現場のケヤキ2本の伐採
平成30年9月19日実施
立川市の工務店様より、福生市にある民家解体現場の敷地内にある目通り240cmと250cmのケヤキ2本の伐採の依頼がありました。
民家所有者様の他界で土地上物の処分及び更地化するとのことで、建物のほか樹木類も処分の対象となり、そのうちケヤキ2本の伐採処分を当社で施工することになりました。
市街地の民家のため道路や敷地が狭く、建物を解体してからでないと簡単には伐ることができない現場でした。
解体現場の伐採なので建物解体後の作業を条件として、跡地を作業場とするために整地や地固めのほか、クレーン等を搬入するための出入口及びスロープの作設をお願いしました。
運搬車両の駐車場所にも問題があり、現場敷地内には接する細い道の車幅や搬入口からはミニラフターと4ナンバー車の進入が限界であるため、伐採材の運搬車両を1日中駐車するスペースを確保できませんでした。
道路事情が悪いという環境上、2日以上に渡って狭い道路へクレーンや運搬車両を頻繁に出入りさせる訳にはいかないため、1日のうちに全作業を終えることが望ましい場所でした。
このため、伐採はいつもお世話になっている空師さんとお抱えの13tのクレーン屋さんにお願いし、当社では伐採材と発生材の搬出運搬を担当しました。
クレーンを建物跡地に進入させるためには地面の養生が通常では必要で、道路事情から簡単に鉄板を搬入できないので、砕石散布と厚ベニヤの用意を工務店様にお願いしていました。
建物を解体した業者さんがミニユンボでも現場内を非常によく転圧したお陰で、ベニヤを使わずとも敷地内でクレーンを走行させることが可能でした。
2本とも5年程度前に枝下ろしをしている木のため枝の吊り伐りは容易で、吊り下ろした枝も廃棄する細枝と太枝のパルプ材が明確に分かれており、枝払いや選別作業も非常に容易でした。
胴木は高さ3m弱の位置から枝分かれして枝下高が街路樹並みに低く、樹齢も若く街路樹のケヤキがさらに大きくなったという感覚で、性質も街路樹に近い感じでした。
午前中には2本とも胴木残しの状態までの枝下ろしと廃棄する枝の積込搬出が終了し、午後は胴木の元伐りから作業を再開しました。
ここで、2本の元伐りが終了する頃を見計らって原木運搬車両を会社から呼び寄せ、現場前の狭い道が接する都道からバックで進入させました。
当社の運搬車は住宅密集地や狭小地からの大径木搬出を想定しているので、ショートホイルベースのお陰で途中の狭いカーブをなんとか通過して車幅限界で現場の前まで搬入しました。
現場敷地内までは進入させることはできないので、道路上に止め置いて到着と同時に積込みを開始しました。
伐採材はすぐに積込みできるように荷作りしているためそのまま積込み、積込終了後は速やかに搬出しました。
伐採材は1台で丁度積み切り、廃棄する枝葉は1本のケヤキにつき2tダンプ8分目程の量で済み、予定通り当日中に全て搬出して作業を終了しました。
更地化のための抜根作業までは、伐根付近に境石、水道管、道路、水路が食い込むように干渉しているので当社では請負いませんでした。
埼玉県所沢市 屋敷内のヒノキ風倒折損木及び落雷被害木等6本の伐採
平成30年9月13日実施
川越市の建設会社様より、所沢市にお住まいの親戚の方の自宅屋敷内にあるヒノキが台風で折れて倒れ掛かっているとの連絡がありました。
先日4日に通過した台風21号の強風により、屋敷内にある土蔵の南側に立っていたヒノキ1本が根元付近で裂けて隣のヒノキにもたれ掛かっていました。
風倒木は幹内部がすでに腐っていましたが、幸いなことに隣のヒノキに支えられる形で止まり、幹の外側は腐っていなかったので捩じり切れずに台風通過後一週間以上も耐えていました。
また、もたれ掛かられた木もヒノキであったことが一週間耐えられた一因であり、土蔵直撃という大惨事は免れられました。
これらのヒノキはこの土蔵を風から守るための防風林として先祖が植えたもので、現在では老木化と土壌環境から樹幹の痛みが発生して強風への耐久性が落ちていました。
風倒木の他、土蔵の西側にあるヒノキ並木にある1本が以前に落雷被害に遭っているとのことで、同時に伐採して欲しいとのことでした。
落雷被害木の周辺にある太めのヒノキ3本も今後の倒木被害や落雷を考慮して、同時に伐採しても良いとのことでした。
落雷被害木が目通り165cmで、他のヒノキの目通りが210cm、135cm、120cmとヒノキとしては大きい部類に入ることから買取させていただき、クレーン代や消費税等を値引きさせていただきました。
10日に最初のご連絡をいただき、緊急性の高い案件であったため当日中にお伺いして確認し、当社の予定を変更してクレーンの予約上最速である13日に伐採することにしました。
伐採には12tクレーンを搬入し、最初に土蔵南側の風倒ヒノキから伐採を開始しました。
風倒木には複雑な力が掛かっており、枝切り等の樹上作業が一切できないため全木状態で吊り伐りする必要があることから、畑に厚ベニヤを敷いてクレーンを伐採木に可能な限り近づけました。
全木吊り伐りして処理後、西側にあるヒノキ1本が不自然に傾いており、手で揺らしたところ大きく揺れたので危険と判断して依頼人様に伝えて即伐採しました。
南側での風倒木処理作業が終了し、次に買取したヒノキ4本を伐採するためにクレーンを移動して屋敷の常口に設置しました。
これらのヒノキは樹高が20m近くあり、材は両側を垣根で挟まれた幅3.5mの道に吊り下ろす必要があったので、樹冠部を1回または2回に分けて胴切して伐り下ろしました。
買取している木のため4本とも幹を全て測り、出荷する元木と2番玉は元腐れや曲り具合、節等の欠点を全て考慮して確実に必要な長さ以上を確保して3番玉以上を胴切しました。
樹冠部を全て伐り下ろし、下から8~11mで残した元木と2番玉は元木の穴の開き具合で造材するため、長材のまま吊り倒しました。
土蔵に一番近い位置に立っていた目通り120cmヒノキ以外は元腐れ等の無い無傷で、地木ヒノキの油気の強く良いヒノキ材が採れました。
目通り135cmヒノキが元木で4m×34cm、目通り165cmヒノキが元木で4m×38cm、目通り210cmヒノキが元木で4m×46cm、目通り120cmヒノキが元木で4m×34cmの採寸となりました。
時間が余ったためあと1本伐採しても良いと提案しましたが、防風林として他の木は残したいとのことでしたので、西側の茶畑に垂れ下がった残存木の枝剪定をして作業を終了しました。
枝は依頼人様が薪に使ったり、細い枝葉は燃やして灰を畑の肥料に利用するとのことで垣根の内側に積み上げて残置しました。